徘徊する認知症患者への対応
認知症患者が徘徊を行う理由
実は、徘徊については、「その人なりの理由がある」と言われています。
はたからは、あてどもなく歩いているように思われますが、本人にとっては歩き始めは目的があってのことです。
たとえば、トイレや、本屋など目的の場所があったのにわからなくなって探しているなどの場合があります。
単に訳もわからず歩いていると頭ごなしに決めつけてしまうのではなく、歩いている理由や本人の感じている世界を理解しようと努めることは、対応への第一歩となります。
施設などで「家に帰る」と言って、出て行ってしまう「帰宅願望」もよく知られています。
自宅で暮らしている場合にも起きることがありますが、帰宅願望の背後には、「ここは自分の居場所ではない」という本人の気持ちがあるようです。
認知症の人は時間や場所の把握が難しく、自分が何故今ここにいるのか、わからなくなることがあります。
そうなると、その場所は居心地が悪く、不安だから心落ち着く場所に行きたいという思いが生じます。
これは、私たちにも理解できる感情と言えるでしょう。
徘徊などの認知症の周辺症状(BPSD)は防ぐことができる
徘徊や妄想などのように、認知症のために起こる困った行動を「周辺症状」、または「BPSD」と言います。
直前の出来事がまったく覚えていない記憶障害や、自分の今いる場所や時間がわからなくなる見当識障害などの中核症状は改善が難しいのですが、BPSDはケアの影響を大きく受け、ケアで改善や予防が可能だと言われています。
徘徊などの行動が起きても、家庭でも適切なケアと医療によって改善し、穏やかな在宅生活を送ることができるのです。
では、適切なケアとは何でしょうか?
徘徊を防ぐための適切なケアとは?
まず、認知症の人とうまくコミュニケーションすることです。認知症の人は、物事を理解するのが難しくなっているので、意思の疎通にとても時間がかかるからです。
コミュニケーションにはいくつかのコツがあります。
まずは過去のことは一旦全て忘れて、今のあるがままの状態を受け入れることから始めるのも大切な一歩です。
知り合いや施設などで、長く認知症患者の人たちと接してきた人がいれば、コツを訪ねてみるのも良いと思います。
効果的な対応法として現場のノウハウがたくさんあるはずですよ。
良くありがちな認知症対策のノウハウ本ではなく、認知症に係わる人達にとって本当にためになる本でした。
身近に認知症を抱える人にとって1家に1冊必要な家庭本です。