匂いで脳が若返る?アロマが認知症予防に効果的な原因と経緯
認知症の研究に50年の歴史を誇る、認知症研究の草分け的研究機関の鳥取大学から発表された認知症予防対策の成果が注目を集めています。
30年以上 認知症の臨床と研究を続けるエキスパート、
日本認知症学会の評議員/鳥取大学医学部 生体制御学講座の教授の浦上克哉先生による認知症予防プログラムがあります。
この認知症予防プログラムが、10年前から大きな成果を上げているのです。
その成果は、たった3ヶ月で、脳の若返りに成功したというもの。
浦上先生は、3人に一人が65歳以上と言う鳥取県の琴浦町にて、町役場と一緒になって認知症予防に取り組み始めました。
認知症予防プログラムの内容は、体操や朗読、リズムゲームなどです。
認知症予防に効果的な方法は、従来から言われてきたとおり、
運動、知的活動、コミュニケーション
が有効です。
認知症の判定基準として知られる、認知症機能検査TDASの判定によると、
0~7 正常範囲
7~14 認知症予備軍
14以上 認知症
平均値12だった琴浦町の約30名の高齢者。
多くは認知症予備軍だったので、放っておけば3年ほどで認知症に移行する危険がある状態でした。
しかし、予防プログラムを始めたところ、僅か3ヶ月で約10程に下がり始め、さらに3年続けると、数値が平均約7まで下がり続け、多くの人の認知症発生を防ぐことに成功しているのです。
浦上先生の認知症予防プログラムは劇的な効果をもたらしたのです。
より効果的な認知症予防対策を求めて
その後もより良い効果を求めて、浦上先生が研究の結果見出した、新たな対策が嗅覚刺激です。
適切な香りを嗅ぐことによって嗅神経を効果的に刺激して嗅覚と連動している海馬(記憶に関する神経)も活性化させるという方法です。
そもそも人と脳には、中心部に記憶を司る海馬という部位があります。
以前は認知症を発症すると、まず海馬がダメージを受けると考えられてきました。
しかし、事実は違っていました。
近年の研究によって、海馬に直接繋がっている嗅神経が、海馬よりも先に最初にダメージを受けていることが分かってきました。
そして、その嗅神経のダメージが次第に海馬に伝わって行き、記憶の機能を破壊しながら、その他の部位にも拡がって悪化していくのです。
そのため、浦上先生はこの嗅神経が認知症予防の鍵である、と考えました。
なぜなら、他の脳神経と違って、嗅神経は再生能力が極めて高いという事実があったからです。
つまり、嗅神経を刺激し活性化させることで、そこから直接繋がっている海馬も活性化させ、認知症の予防改善に効果があると考えたのです。
浦上先生は国内外の研究報告からどんな香りが嗅神経に良いのかを調査分析し、実際に認知症患者にも試してもらって、10年。
ついに脳の若返りが期待できるある香りにたどり着いたのです。
そして、2005年 日本認知症学会の学会誌に研究論文を発表し、大きな注目を集めました。
それが、アロマの香りです。
鳥取県のアルツハイマー病患者の10人にアロマの香りを1ヶ月嗅いでもらった結果、認知機能の平均値が、検査前 約37から、1ヶ月後には、約34まで下がって、認知症を患っている患者に対して改善が見られました。
実際の治療薬に近い認知機能の改善効果があったのです。
その後も研究を続け、多数の認知症患者の改善例が確認されました。
アロマオイルの香りの作用で、認知症の進行を食い止めることが期待できるということが実証されてきたのです。
もちろん認知症予備軍の人への改善効果も期待できることが分かってきています。
浦上先生によると、認知症は65歳以上から発症する確率が増えてきますが、実際にはその10年、20年間から進行が徐々に進んできているとのこと。
40代、50代のうちから脳の活性化を心がけることを意識しておいたほうが良さそうです。
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