高齢の親や祖父母が認知症になったとき、「もしかしたら外出先で迷子になってしまうかも…」と不安に感じたことはありませんか?
実際に、警察庁が発表したデータによると、2023年に認知症の行方不明者は1万6887人と過去最多を記録しました。
これは1日あたり46人、1時間で約2人が行方不明になっている計算になります。
また、桜美林大学の研究によると、行方不明になってから発見までの時間が長くなるほど生存率が低下することも明らかになっています。
認知症の方が迷子にならないための対策や、行方不明時の対処法について解説します。
認知症の方が行方不明になる主な理由

認知症の方が突然いなくなってしまうのは、決して珍しいことではありません。
その主な理由には次のようなものがあります。
1. 目的地を忘れてしまう
自分では「買い物に行っただけ」「家に帰る途中」と思っていても、いつの間にか方向がわからなくなり、そのまま迷子になってしまうことがあります。
特に、認知症の初期段階では自分の症状に気づいていないことが多いため、「この道で合っているはず」と思い込み、さらに迷ってしまうケースも少なくありません。
2. 帰巣本能が働く
認知症の高齢者の中には、「昔住んでいた家に帰りたい」という気持ちが強くなり、無意識に歩き続けることもあります。
特に夕方から夜にかけての時間帯に起こりやすいため、家族が気づかないうちに外へ出てしまうことも。
3. ストレスや混乱による徘徊
慣れない環境にいると、不安やストレスから「家に帰らなきゃ」と思い、勝手に外に出てしまうことがあります。
たとえば、病院や施設に入所したばかりの方が、パニックになって外へ出てしまうというケースもあるのです。
迷子を防ぐための具体的対策
認知症の行方不明を防ぐためには、事前の対策が重要です。
以下に、家族がすぐにできる対策をご紹介します。
1. GPS機能付きの見守りツールを活用する
最近では、靴やカバン、ブレスレットに取り付けられるGPS端末が販売されています。
例えば、
- 「みまもりタグ」(小型GPSデバイス)
- スマートフォンの「かんたん位置情報アプリ」
- 警察や地域の見守りサービスへの登録
これらを活用すると、もし迷子になっても居場所をすぐに確認できます。
2. 服やカバンに名前・連絡先を付ける
外出時には、「認知症の方の名前」「家族の連絡先」が書かれたタグや名札を身に着けると、発見時の対応がスムーズになります。
また、服や靴に名前を縫い付けるのもおすすめです。
3. 玄関や外出経路に鍵やセンサーを付ける
深夜や早朝に外へ出てしまうリスクを減らすために、**玄関や勝手口にセンサー付きの鍵**を設置すると効果的です。
例えば、
- 「扉が開くと音が鳴るアラーム」
- 「暗証番号が必要な電子ロック」
これらを活用することで、無意識の外出を防げます。
4. 「行方不明発生時」の対処手順を家族で共有する
万が一行方不明になった際の行動計画を、家族や近所の人と事前に決めておくことも重要です。
以下のようなポイントを家族で確認しておきましょう。
対策 | 具体的な行動 |
---|---|
1. まず自宅周辺を探す | 近所の公園、スーパー、よく行く場所を確認する |
2. すぐに警察へ届け出る | 「110番」に通報し、行方不明者届を提出 |
3. 近隣住民や防犯ネットワークに協力を依頼 | 見かけた人がいないか聞き回る |
4. GPS追跡アプリを確認 | 位置情報をチェックし、最寄りの場所へ向かう |
探索の際は、認知症の方が普段よく行くお店、利用するバスルート、公園などを重点的に探すのも効果的です。

この記事のまとめ
認知症の介護は大変ですが、事前に適切な対策を取ることで、行方不明のリスクを大幅に減らせます。
しっかり備えをして、大切な家族を守っていきましょう。
※参考: 警察庁 交通局地域課「認知症の行方不明者の状況(2023年)」

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