歯が弱いと認知症になりやすい?その関係と対策
歳を重ねるとますます気になる「歯の健康」。
実は、歯の本数や咀嚼力(噛む力)が認知症と深く関わっていることが最新の研究で分かっています。
今回は、歯の健康と認知症の関係、そして今からできる予防策について詳しく解説します。
歯が少ないと認知症のリスクが上がる理由

厚生労働省が愛知県で行った調査では、65歳以上の約4500人を4年間追跡し、歯の本数と認知症発症リスクの関係を分析しました。
その結果、歯がほとんどなく入れ歯も使用していない人は、歯が20本以上ある人に比べ、認知症の発症リスクが約2倍高いことが判明しています。
また、福岡県の調査では、噛む力が弱い高齢者は、要介護や寝たきりになるリスクが7.5倍も高まることも分かっています。
さらに、アルツハイマー型認知症患者の脳では、「海馬」と呼ばれる部分の萎縮が進行するという特徴があります。
咀嚼(そしゃく)による刺激が減ると、認知機能を司る海馬の働きが低下しやすくなり、結果として認知症の発症リスクが高まるのです。
噛めないことで栄養バランスが崩れる

歯が少なくなると、しっかり噛むことが難しくなり、必然的に柔らかい食べ物を選びがちになります。
例えば、以下のような食事内容に偏ることが多くなります。
しっかり噛める人 | 噛む力が弱い人 |
---|---|
野菜や果物、ナッツ、肉、魚 | 柔らかいご飯、うどん、パン、練り物 |
このような食事の変化により、食物繊維・ビタミン・タンパク質が不足しやすくなります。
これによって、以下のような健康リスクが高まります。
結果として、認知症だけでなく、体全体の健康にも悪影響を与えてしまうのです。
認知症を防ぐための歯と口の健康対策
では、歯の健康を守りながら、認知症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?
今からできる対策を4つ紹介します。
1. 定期的に歯科検診を受ける
日本歯科医師会によると、年に2回以上の歯科検診を受けることで、歯を失うリスクが大幅に減るそうです。
特に歯周病は、脳への炎症を引き起こし、認知症のリスクを高めることが分かっています。
2. 入れ歯やインプラントを活用する
歯を失ったまま放置すると、咀嚼による脳の刺激が減ってしまいます。
自分に合った入れ歯やインプラントを使用し、しっかり噛むことを心がけましょう。
3. よく噛む食事を意識する
噛む回数を増やすことで、脳の血流が良くなり、認知機能の低下を防ぐことができます。
例えば、ご飯に雑穀を混ぜる、野菜を大きめに切る、ナッツ類を取り入れるなど、歯ごたえのある食材を意識的に取り入れてみましょう。
4. 唾液の分泌を促す
口の中が乾燥すると、細菌が増えやすくなり、歯周病のリスクが高まります。
ガムを噛む、舌の運動をするなど、唾液の分泌を促す習慣を身につけましょう。

この記事のまとめ
歯の健康を守ることは、認知症予防だけでなく、全身の健康維持にもつながります。
日頃から意識して、将来の健康を守りましょう!
※参照 厚生労働省「健康日本21」
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