脳の細胞が壊れていくことで、記憶が抜け落ちるなどさまざまな症状が出る認知症。
この病に苦しむ人は世界で5000万人に迫りますが、残念ながら未だ特効薬はありません。
認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病の場合、2016年現在、薬は4種類あります。
1990年代にエーザイが発売した「アリセプト」はその代表格です。
ピーク時には世界で年3228億円も売り上げました。
しかしながら、アリセプトも含めて現状販売されている薬は症状を改善する対症療法薬で、認知症の進行を遅らせるだけです。
それでも認知症を身近に抱える人たちは、薬にすがってしまうものです。
こんな状況を劇的に変えるかもしれない新薬の開発が、海外で進んでいるのです。
ロンドンに住むジョナサン氏の例
ロンドン郊外に住むジョナサン・グレンジ氏(73歳)の例です。
10年ほど前に退職したジョナサン氏は、しばらくすると、今日が何曜日なのかを思い出せなくなってしまいました。
そして、お金の計算もできなくなり、たどりついた診療所でアルツハイマー病と診断されました。
診断経過で、認知症の新薬を紹介されました。
安全性や効果を確認する臨床試験(治験)として、です。
ジョナサン氏は、「失うものはもう何もない」と臨床試験への参加を決めました。
それから2年前、台所に真っ青な錠剤を置き、朝晩l錠ずつその新薬を飲み続けています。
その効果はどうかというと、今でも直前の出来事は思い出せないことが多いけれど、ガーデニングを楽しめるし、新聞もよく読むようになりました。
ジョナサン氏は言います。
「よくなっているとしか思えない」
「薬が効けば、このままずっと家で暮らし続けたい」
新薬の治験状況の中間発表論文によると、飲み続けて1年間たっても、薬を飲んだ人は認知機能がほとんど落ちていないとのこと。
この薬の開発を30年間続けてきた英アバディーン大教授のクロード・ウィシク氏は、
「楽観的に言えば、2017年か18年には世に出せるだろう。控えめにみても、年1兆~2兆円規模の市場になる」
と予測しています。
この予測が当たれば、一気に売り上げトップの超大型新薬が誕生します。
期待の新薬、楽しみですね。
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